江戸東京野菜一覧
練馬大根
元禄の江戸時代から栽培されるようになりました。その後、昭和の初めの頃まで盛んに栽培され続けますが、昭和8年の大干ばつや、何回かのモザイク病の大発生によって大きな痛手を受けました。その後も、食生活の洋風化・急激な都市化による農地の減少などにより、昭和30年頃から栽培が衰退し、練馬大根が出回ることがほとんどなくなってしまいました。
白首大根系の品種で、重さは通常で1~2kg前後、長さは70~100cmほどにもなります。首と下部は細く、中央部が太く、辛味が強いです。現在、沢庵漬けに適している「練馬尻細大根」が生産されています。
練馬大根みみより情報
一般に流通している大根に比べて、抜くのに3~5倍の力が必要な練馬大根。それを抜くスピードなどを競うのが「練馬大根引っこ抜き競技大会」です。練馬区との共催で平成19年から始まったこの大会、話題が話題を呼び、近年では500名を超える参加者が集まっています。「大人になってから畑で思いっきり走り回れるのはこの大会だけ!」「子どもに収穫の体験をさせてあげることで、苦手な野菜にも興味をもって食べてくれるようになりました」とのお声も。毎年12月の第1週の日曜日に開催される「練馬大根引っこ抜き競技大会」。ぜひご参加ください。
志村みの早生大根
かつては清水夏大根と呼ばれており、中山道を下ると清水坂(現在の志村坂)辺り百姓みの吉によって育成されたといわれています。冬大根の練馬大根と違い、夏の暑さに強い夏大根です。ベッタラ漬けの材料として欠かせない、人気の品種でした。
雑司ヶ谷ナス
江戸時代に山ナスと呼ばれるナスがありました。中でも雑司ヶ谷村(現在の豊島区雑司が谷)で作られたナスの味が良いと評判になり、雑司ヶ谷ナスと称されました。肉質がしまり、しっかりしていて煮物用に適しています。加熱すると独特のとろみが出て、非常に甘みがあります。
東京大越瓜
江戸時代から昭和初期まで練馬区部北西部一帯で夏野菜として盛んに栽培され、青味・風味・涼味の三拍子そろった旬の漬物として人々に好まれました。また、奈良漬としても有名です。
渡辺早生ごぼう
練馬区大泉の渡邉正好氏が育成し、農林水産省の種苗名称登録を受けた品種です。滝野川ごぼうから改良されたもので、やや短く、全体的に肉付きが良いのが特徴です。昔からササガキにして柳川鍋、キンピラでよく食べられました。灰汁(あく)が少なく、若いものはサラダや生食にも向いています。
東京うど
幕末には吉祥寺辺りで栽培が始まりました。畑で太らせた根株を穴倉などに移植し、日光を遮り白い茎を成長させる栽培法をとっています。JA東京あおば管内では1軒の農家で栽培されており、灰汁(あく)が少なく、生食でもおいしく食べられます。
金子ゴールデン
日本初のビール麦「金子ゴールデン」は明治33年中新井村(現在の練馬区豊玉南)の金子丑五郎氏が、米国ビール麦「ゴールデンメロン」と六条大麦「四国」の自然交雑したものの中から選抜した品種です。黎明期の国産ビール醸造の発展に大きく貢献しました。
そして、平成23年5月よりビール麦「金子ゴールデン」を原料とした「練馬金子ゴールデンビール」の販売を始めました。JA東京あおば直売所での初回入荷分は販売開始からわずか3日で完売した大人気商品。昔ながらの製造工程で生産するため、大量には生産できませんが、苦みを抑え、ほんのり甘味のある味が特徴です。また、ボトルコンディション製法を用いているため賞味期限は5年間あります。ぜひご賞味ください。
未成年の飲酒は法律で禁止されています。
引用参考文献:東京農紀行、江戸・東京ゆかりの野菜、江戸・東京農業名所めぐり
内藤唐辛子
内藤家の菜園(後の御苑)から広まり、品種は八房(やつぶさ)トウガラシです。
当時は成熟したものを漬物用や香辛料として使われてようです。参勤交代のために江戸に屋敷を構えた各地の大名たちが、やがて下屋敷で故郷の野菜を栽培するようになり、現在の新宿御苑とその周辺に家康から受領した約20万坪以上もの屋敷を構えていた内藤家(後の高遠内藤家)では、内藤唐辛子や内藤南瓜をはじめとする野菜が作られました。「新宿の今昔」には、「内藤新宿周辺から大久保にかけての畑は真っ赤に彩られて美しかったという」と記述されています。
とくに唐辛子に関しては、文化7年(1810)から文政8年(1825)にかけて幕府が編纂した「新編武蔵風土記稿」において、「世に内藤蕃椒(とうがらし)と呼べり」と紹介され、近隣の畑一面を真っ赤に染める光景は壮観だったといわれています。
また江戸の食に欠かせない調味料として、七色唐辛子などで広く親しまれてきました。唐辛子売りの口上に、「入れますのは、江戸は内藤新宿八つ房が焼き唐辛子」ともうたわれていることでもその普及ぶりが想像されます。
JA東京あおば管内では、現在5~6件の農家で栽培されています。